食物繊維の働きと効果とは ダイエット・筋トレに活かす食物繊維

食物繊維の働きと効果とは ダイエット・筋トレに活かす食物繊維

監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊

プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message

ダイエットやボディメイクをしていると、体調を崩したり、お腹の調子が悪くなったと感じたりすることはありませんか?
そんな人は、食物繊維が不足しているのかもしれません。実は、食物繊維には、ダイエットや筋トレの効果を高める働きもあるのです。
 
今回は、食物繊維の働きや効果、ダイエット中や筋トレ中の活かし方を、プロのスポーツトレーナーが解説します。

目次

特定の栄養素の吸収を阻害することがある

食物繊維には腸内の環境を整える働きがありますが、大量に摂取してしまうと、特定の栄養素の吸収を阻害してしまう場合があります。特に鉄分、亜鉛、カルシウムなどのミネラルは、不溶性食物繊維が多い場合、体内に吸収されにくくなるため注意が必要です。

食物繊維の効果・機能

はじめに、食物繊維の効果や働きを説明します。

腸内環境の改善

食事などで摂取した食物繊維は、善玉菌(特にビフィズス菌や乳酸菌)のエサとなり、腸内の善玉菌を増やします。
善玉菌は、腸内のpHを酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑制します。また、ビタミンB群やビタミンKを合成したり、免疫機能を強化したりします。善玉菌が増えることで、腸内環境を整えることにつながります。

血糖値の急上昇防止

食物繊維は、糖質の吸収を緩やかにし、食後の急激な血糖値上昇を抑える働きがあります。
食後の急激な血糖値上昇は、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病リスクを高めます。また、血糖値が急激に上昇することでインスリンが分泌され、脂肪を蓄積しやすくなってしまいます。

コレステロール値の抑制

食物繊維は、コレステロールの吸収を妨げ、血中コレステロール値を下げる効果が期待されます。血中コレステロールは、動脈硬化や心臓疾患などの血管疾患のリスクを高めます。

筋トレにも効果的

腸内環境の改善により、効率的にたんぱく質を吸収できるようになります。そのため、摂取したたんぱく質を効果的に体づくりに使うことができるようになり、筋トレの効果の向上にも役立ちます。

腸の運動の促進

食物繊維により腸内環境が整うと、腸の蠕動運動を活発にし、便通を促進します。これにより、便秘を防ぎ、腸内に老廃物が溜まるのを防ぎます。

食物繊維の種類と特徴

食物繊維には大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴と効果を確認してみましょう。

水溶性食物繊維

水溶性植物繊維は、水に溶ける性質を持ち、摂取した後、腸内でゲル状に変化する食物繊維です。
腸内の水分を吸収して膨らみながら、腸内をゆっくり通過し、消化の速度を遅くすることで、血糖値の上昇を抑制します。また、コレステロールが変化した胆汁酸を吸着して排出することで、コレステロールの低下にも効果があります。
ゲル状になり消化が遅くなることで、満腹感を持続させ、間食を防ぐ働きもあるため、ダイエットにも効果的です。 また、腸内の善玉菌にとっては、この水溶性食物繊維がエサとなるため、水溶性食物繊維を摂取することで善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果があります。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は消化されにくく、水を吸収して膨らむ性質を持った食物繊維です。

溶けずに腸内まで届き、腸内の水分を吸収し膨張します。腸内で膨張することで腸を刺激し、蠕動運動を促進させたり、腸を刺激して便通を促す働きがあります。
このように、2つの食物繊維には主な働きが異なります。そのため、両方バランスよく摂取することが大切です。

食物繊維が豊富な食材

食物繊維を摂取するには、どのような食材を選べばいいのでしょうか。ここでは、食物繊維が豊富に含まれている食材を紹介します。

野菜類

野菜には、食物繊維が含まれている食材が豊富にあります。
中でも食物繊維含有量が多い野菜は以下の通りです。
 
・ごぼう:食物繊維含有量: 約5.7g/100g 不溶性食物繊維が豊富。
・かぼちゃ:食物繊維含有量: 約3.5g/100g 水溶性と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれている。
・にんじん:食物繊維含有量: 約2.8g/100g 不溶性食物繊維が多い。
・ブロッコリー:食物繊維含有量: 約4.4g/100g 不溶性食物繊維が多い。
・ほうれんそう:食物繊維含有量: 約3.7g/100g 不溶性食物繊維が多い。
・モロヘイヤ:食物繊維含有量: 約5.9g/100g 水溶性・不溶性の両方を豊富に含む。
 
生の野菜より、茹でたり焼いたりすることで食べられる量が増えるので、調理したほうが食物繊維を多く摂取することができます。

海藻・きのこ

海藻やきのこも、食物繊維を豊富に含んでいます。
 
・わかめ(乾燥):食物繊維含有量:約33~35g/100g 水溶性食物繊維が豊富。
・ひじき(乾燥):食物繊維含有量:約40g/100g 水溶性食物繊維が豊富で、カルシウムや鉄分も多く含まれている。
・のり(乾燥):食物繊維含有量:約36g/100g 水溶性食物繊維が多く、ビタミンB群やミネラルも豊富。
・しいたけ:食物繊維含有量:約2.7g/100g 不溶性食物繊維が多い。
・えのき:食物繊維含有量:食物繊維:約3.9g/100g 不溶性食物繊維が多い。
・しめじ:食物繊維含有量:約3.7g/100g 不溶性食物繊維が豊富。


献立にこれらの食材を使った一品をプラスすれば、簡単に食物繊維の摂取量を増やすことができるでしょう。

穀類

食物繊維といえば、野菜や海藻などをイメージすることが多いですが、穀類にも豊富に含まれている食材があります。
 
・玄米:食物繊維含有量:約3.0g 精白米よりも食物繊維が多く、ビタミンやミネラルも豊富。
・大麦:食物繊維含有量:約9.0g 水溶性食物繊維が豊富。
・オートミール:食物繊維含有量:約7.5g 水溶性・不溶性の両方を豊富に含む。
・そば(乾麺):食物繊維含有量:約3.0g 白米や精製された小麦に比べて食物繊維が多い。
 
主食をこれらの穀類に置き換えることで、食事の満足感を保ちつつ食物繊維もしっかり摂取することが可能です。

プロテイン

プロテインには、腸内環境を整えるために、食物繊維を配合している商品もあります。ここでは、食物繊維を含んでいるプロテインを紹介します。

ALPRON ウェイトダウン

「ALPRON ウェイトダウン」は、大豆から作られている食物繊維が多いソイプロテインです。このプロテインではさらに水溶性食物繊維をプラスし、腹持ちを良くしたり、糖分の吸収を遅らせ血糖値の上昇を抑えることができます。
1食(15g)あたり、3.4gの食物繊維を摂取することができます。

IZMO 完全栄養の素

「IZMO 完全栄養の素」は、1回の摂取(40g)で食物繊維を約4g摂取することができます。
名前の通り、他の栄養も配合され、バランスがとれているため、手軽にバランスよく栄養を摂取することができます。

1日あたりの食物繊維の摂取目安量

食物繊維は、1日にどのくらい摂取すればよいのでしょうか。
 
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2025年版)」において、食物繊維の摂取目安量は以下の通りです。
(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316464.pdf
もちろん、個人差はありますが、この目安量を参考に、食物繊維を摂取するとよいでしょう。

 

食物繊維の摂取タイミング

食物繊維はいつ摂取しても問題ありません。3食の食事でバランスよく摂取するのが基本です。
 
研究では、水溶性食物繊維を朝食に摂取することで、腸内環境の改善や、血糖値の上昇抑制につながったという報告もあります。腸の不調改善を目指す人は、朝食に水溶性食物繊維を意識して摂るのも良いでしょう。
 
https://www.nyusankin.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/07/NSKnewsNo517cc_27_30.pdf
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/when-to-eat/timing/

 

食物繊維を摂取する際の注意点

ここでは、食物繊維を摂取する際に、気をつけておきたいポイントを紹介します。

運動前には摂取しない

運動前の食物繊維の摂取には注意が必要です。運動前に食物繊維を豊富に含む食材を摂取すると、運動中に腹痛や不快感が起こる場合があります。
食物繊維は、運動後の栄養補給と一緒に行うのがおすすめです。

水分を摂取する

食物繊維を意識して摂取するのであれば、水分の摂取量も増やすようにしましょう。食物繊維は水分を吸収する性質があり、十分な水分と一緒に摂取しないと便が硬くなり、便秘を引き起こすことがあります。
 
特に不溶性食物繊維は腸で水分を取り込んで便の量を増やすため、不溶性食物繊維を多く摂取した際は、意識的に水分も多く摂取するようにしましょう。

ダイエット・トレーニング中の食物繊維との向き合い方

食物繊維はダイエットやトレーニングにおいても効果を発揮します。ここではダイエット・トレーニング中の食物繊維との向き合い方を紹介します。

取カロリー抑制のサポートに

食物繊維はカロリーが非常に低く、食べ応えがあるため、ダイエット中のカロリー管理に最適です。食物繊維が多い食品は咀嚼が必要で、食べるスピードが遅くなるため、満腹中枢が刺激されやすく、過食を防ぎます。
また、腸内で膨張し、腹持ちも良くなるため、摂取カロリーを抑えることにもつながります。
ダイエット中に意識して食物繊維を摂取すると、減量をスムーズに進めることができるでしょう。

体調維持管理のため

ダイエット中やボディメイク中は、食事制限などにより栄養バランスが乱れたり、たんぱく質摂取量を増やすことで腸内環境が崩れたりしてしまうことがあります。
食物繊維を摂取することで、腸内環境が整い、免疫力の向上や、消化機能の維持など、体調管理に役立ちます。
また、食物繊維をしっかり摂取することで、たんぱく質の吸収も良くなり、体づくりに効果を発揮します。

食物繊維を意識して摂取し、健康的に体づくりを進めよう!

今回は、食物繊維について解説しました。


ダイエットやボディメイクなどの体づくりの場合、どうしてもたんぱく質やアミノ酸などの体を作る栄養素に目が行きがちですが、その働きをサポートしたり、体調を整える働きを持つ食物繊維も、体づくりにとって重要な栄養素の一つです。
 
食物繊維は普段の食事では不足しやすいため、普段から意識して食物繊維の多い食材を摂取して、体づくりを進めていきましょう!

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