監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊
プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message
たんぱく質を補給するためのプロテインには種類があります。プロテインをより活用するためには、その種類の特徴と活用法を理解しておくことが大切です。
今回は、「カゼインプロテイン」の効果と活用法について、スポーツトレーナーが監修・解説していきます。
カゼインとは?
たんぱく質は、体づくりのために欠かせない栄養素です。その中の一つ「カゼイン」は、牛乳に含まれる乳たんぱく質の一種で、乳たんぱく質の約80%がカゼインです。
カゼインには、グルタミン酸、ロイシン、バリンなどのアミノ酸が豊富に含まれており、摂取するとカルシウムやナトリウムの吸収を促進させる働きも持ちます。
カゼインの特徴
カゼインは牛乳を凝固させる際に形成される凝固物の主成分であり、乳製品の製造や加工に広く使用されています。カゼインは有名な乳たんぱく質の一つ、乳清(ホエイ)とは異なるタイプで、加熱や酸を加えることでゲル状になり、凝固しやすくなるという特徴があります。
この性質を利用して、チーズやヨーグルトなどの乳製品に活用されたり、食品の添加物や製品の安定剤としても使用されています。
このカゼインの特徴を生かしたプロテインが、カゼインプロテインです。
カゼインナトリウムとは
食品の栄養成分表を見ると、カゼインNaと表記されているものがあります。これが、カゼインナトリウムです。カゼインナトリウムは水に溶けないカゼインを中和させ、水に溶けやすくしたもので、水と油のように混ざらないものを混ぜ合わせるための「乳化剤」や、栄養成分強化のための「強化剤」として活用されています。カゼインナトリウムはプロテインとしても使われています。
カゼインを含む食品
カゼインは牛乳をはじめ、チーズやヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品に多く含まれています。
それ以外に、カゼインナトリウムとしてはミルク入りコーヒー飲料、パン、ハムやソーセージ、かまぼこなどの加工食品など、多くの食品に使用されています。
プロテインの種類
カゼインプロテインの説明に入る前に、主なプロテインにはどのような種類があるのかを頭に入れておきましょう。
ホエイプロテイン
もっとも代表的なプロテインといえば、「ホエイプロテイン」です。先ほど紹介したとおり、ホエイもカゼイン同様、牛乳に含まれるたんぱく質です。
ホエイプロテインはプロテインの中で、特に筋肉づくりに効果が高いという特徴があります。
ソイプロテイン
「ソイプロテイン」は大豆から作られた、植物性たんぱく質の代表的なプロテインです。
ホエイプロテインやカゼインプロテインなどの動物性たんぱく質に比べて、脂肪やコレステロールの含有量が少なく、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。
カゼイン プロテイン
そして、今回解説している「カゼインプロテイン」です。牛乳から作られている動物性たんぱく質のプロテインですが、特徴はどちらかというとソイプロテインに似ています。
では、このカゼインプロテインがどのような特徴を持っているのかをこれから解説していきましょう。
カゼインプロテインのオススメポイント
カゼインプロテインはどのように活用するのがいいのでしょうか。
カゼインプロテインの効果
まずはカゼインプロテインにどのような効果があるか確認してみましょう。
1.筋肉の分解を抑え、筋肉を増やす
プロテインを摂取する最大の目的は、筋肉の分解を防ぎ、筋肉を増やすことにあります。それはどのプロテインの種類でも同じです。
ハードなトレーニングをしていたり、ダイエットをしている時は消費エネルギーの増加や摂取エネルギーの抑制により、エネルギー不足に陥りやすくなります。エネルギー不足の体は、体脂肪よりも分解しやすい筋肉を消費し、エネルギーを確保しようとするのです。筋肉が分解されてしまうと、筋量が低下してしまい、トレーニングの効果が現れにくくなってしまいます。筋肉を維持しながら体づくりをするためには、たんぱく質をしっかり摂取する必要があるのです。
2.ダイエット
カゼインプロテインはダイエットとしても活用しやすいプロテインです。カゼインプロテインに多く含まれているグルタミンは、筋肉の分解を防ぐだけでなく、消化の働きをサポートしたり免疫力の向上などの働きもあります。
ダイエットは長丁場。心身ともにストレスのかかるダイエット中は、コンディション維持が大切です。カゼインプロテインを摂ることでたんぱく質やグルタミンの働きにより、体調管理をしながら筋肉を減らさず体重を落とすという理想的なダイエットが可能となるのです。
カゼインプロテイン メリット
どの種類のプロテインも、たんぱく質であることに違いはありません。
それぞれの大きな違いは、体内への吸収時間です。
カゼインプロテインのメリットは、ゆっくりと吸収されるということ。長時間たんぱく質を補給でき、筋肉の分解抑制に高い効果を発揮するのです。
ホエイプロテインは体内への吸収が約2時間程度と早いのに比べ、カゼインプロテインは約7~8時間も吸収に時間がかかります。その分、ゆっくりと長時間にわたり筋肉に栄養を与えることができるのです。また、吸収時間の遅さによって満腹感を持続させることもカゼインプロテインの特徴の一つです。食事量を減らして摂取カロリーを抑えることに繋がり、減量や体脂肪減少に大きく役立ちます。
カゼインプロテイン デメリット
カゼインプロテインを飲む際に注意したいことは1つ。「牛乳アレルギー」です。
乳製品アレルギーを持つ人は、カゼインの摂取を避けましょう。牛乳や乳製品アレルギーの多くはカゼインが原因だからです。
また、カゼインには耐熱性があるため、熱を加えたくらいでは構造が変化しません。ホットプロテインなどにしてもアレルギー反応が出てしまうため注意が必要です。
こんな人にオススメ
カゼインプロテインの特徴である腹持ちの良さを活かし、ダイエット中の栄養補給や食事の置き換えとして活用するのがおすすめです。
そのほかにも、体重コントロールのある競技アスリートや、食が細く食事量を増やせない人のたんぱく質補給などにも活用することができるでしょう。
自分に合ったカゼインプロテインの選び方
カゼインプロテイン商品にも、一つ一つ違いがあります。数あるカゼインプロテインの中から、自分に合ったものを選ぶ場合、どのような基準で選ぶのが良いのでしょうか。
タンパク質含有率が高い
プロテイン摂取の目的は、たんぱく質を効率よく補給すること。そのためには、プロテイン1回(推奨摂取量)あたりのたんぱく質含有量が多い、たんぱく質含有率の高いプロテインを選ぶのが良いでしょう。
たんぱく質含有率は、商品によって異なります。単純にたんぱく質だけを摂取したいのか、補助栄養素も併せて摂りたいのかにもよって、プロテインの配合が変わり、たんぱく質含有率が異なってきます。
体を大きくしたい方は、特にたんぱく質含有率に注目してみましょう。健康維持やプロテイン初心者、ダイエット目的の方は、たんぱく質含有率にこだわらず、目的に合った栄養素が配合されていて続けられそうなカゼインプロテインから始めてみるというのでもよいでしょう。
カゼインの種類から選ぶ
カゼインプロテインにはいくつか種類があります。それぞれの特徴を知っておけば、購入するときの参考になります。
●カゼインミセル
カゼインミセルとは、牛乳に含まれるカゼインプロテインをナチュラルに近い形で取り出したもの。カゼインプロテインの多くはカゼインミセルです。
カゼインの特徴である、腹持ちの良さや長時間でのたんぱく質摂取を目的とするならカゼインミセルタイプのプロテインがおすすめです。
●カゼイネート
カゼイネートは中和処理を施したカゼインプロテインのこと。粒子が細やかなため、カゼインミセルタイプのプロテインよりも吸収が早く、水に溶けやすいというメリットがあります。
●ホエイとのミックスタイプ
最近ではカゼイン単体ではなく、ホエイと組み合わせてあるミックスタイプのプロテインも販売されています。
ホエイの特徴である吸収の早さと、カゼインの特徴であるゆっくりとした吸収により、筋トレ直後から速やかに長時間にわたってたんぱく質を補給することができます。
カゼインの味や飲みやすさ
カゼインプロテインの中には、ホエイプロテインに比べ味にクセがあったり溶けにくいなど、飲みにくさを感じることがあるものもあります。
しかし、最近では様々なフレーバーのものが出ていたり、カゼイネートなどの溶けやすいものも販売されています。継続して飲むためには、味や作りやすさなども重要なポイント。
栄養成分だけでなく飲み続けられる自分好みのものを探してみましょう。
効果や目的に合わせ栄養素や合わせて飲むプロテインを選ぶ
プロテインには種類によっておすすめの摂取タイミングが違います。カゼインプロテインはどのようなタイミングで摂取すると効果的なのでしょうか。
カゼインのベストタイミングは就寝前
カゼインプロテインの効果を最も発揮させる摂取タイミングは“就寝前”です。就寝中は成長ホルモンの分泌が活発で筋肉づくりに効果の高いタイミング。しかし、就寝中は食事ができないため体内のたんぱく質量が不足しがちです。
そこで活用したいのがゆっくりと吸収されるカゼインプロテイン。
就寝前にとることで、就寝中も長時間にわたり常にたんぱく質を補給できるのです。
筋トレ後にも飲みたい
プロテインを忘れずに摂取したいタイミングが、筋トレ直後です。
筋トレ後は成長ホルモンや筋肉の合成を促すインスリンの分泌が活発になり、たんぱく質の吸収率が高いタイミングです。筋トレ直後にプロテインを摂取し筋肉の元となるたんぱく質を補給することで、筋肉の合成を効率よく行うことができるのです。
このタイミングで摂取するのなら、吸収の早いホエイ×カゼインミックスタイプのプロテインがおすすめ。トレーニング直後はエネルギーが不足していて筋肉が分解しやすい状態のため、素早い吸収が可能なホエイが含まれているプロテインが効果的です。
食事の置き換えとして
腹持ちが良いカゼインプロテインは、食事の置き換えとしても活用することができます。
例えば3食のうち、1食をカゼインプロテインにするなど、食事と置き換えることで摂取カロリーを抑え、ダイエットの効率を高めます。
すぐに吸収されるホエイプロテインでは空腹感を感じやすくなるため、食事置き換えのために活用するのであればカゼインプロテインが適しています。
カゼインプロテインは体に悪い?
「カゼインプロテインが体に悪い」
このような記事を目にすることがあります。その理由は何なのでしょうか。
その多くは、先ほど紹介したアレルギーが原因だと思われます。
しかし、アレルギーではない方にとっては、全く問題はありません。
ただ、アレルギーがない人でも、プロテインの過剰摂取とプロテインの品質には気をつけましょう。
飲んでも効果が見られないからといって、どんどん摂取量を増やしてしまう場合がありますが、プロテインは飲めば飲むだけ効果が高まるというものではありません。
また、ネットなどで安い海外製品などに手を出してしまうと、有害物質が含まれていた…なんてことも。日本の製品や大手のメーカであれば、そのような心配はありません。知識があまりない時は安心できる商品を選ぶようにしましょう。
オススメのプロテイン
最後におすすめのカゼインプロテインを紹介します。
今回紹介するのは「ALPRON ミルクプロテイン (200ml×24本)」。
カゼインとホエイがミックスされたプロテインです。
気になる1本あたりのたんぱく質含有量は、1食あたり20g。しっかりたんぱく質が摂取できる高たんぱくのプロテイン商品です。
この商品はすでに飲料の状態になっているため、作る手間がかからず持ち運びが容易で、手軽に摂取することができるのもうれしいポイント。どこでもいつでも摂取しやすいプロテインといえるでしょう
まとめ
一般的には筋肉づくりに効果の高いホエイプロテイン商品が多く、カゼインプロテインを活用している方は全体を見ると少ないほうかもしれません。しかし、カゼインプロテインにも良いメリットがたくさんあります。
【カゼインプロテインの特徴】
●長時間栄養摂取ができない就寝前に最適!
●腹持ちの良さからダイエットにも活用できる
●ホエイと組み合わせることで、さらなる効果アップが期待できる
カゼインプロテインの特徴をいかし、体づくりを進めましょう!