監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊
プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message
健康を意識する人達の間で最近話題なのは完全栄養食です。しかし、完全栄養食とサプリメントやプロテインとは何が違うの?どのようなメリットやデメリットがあるのか、わからないという悩みを持っている方も多くいます。今回は、そんな完全栄養食とは?から、取り入れ入れ方、活かし方を栄養面や活用法に関してわかりやすく解説します。
栄養バランスの取れた食事とは?
栄養バランスが取れた食事とは、摂取する人の体重に対して適切なカロリーを守り、なおかつ、一日に必要な栄養素の目安量を偏りなく摂取できる食事です。
一日に必要な栄養素とは、糖質、脂質、タンパク質といった5大栄養素、ビタミンやミネラルを指します。
一見すると難しいように感じますが、食材でいうと赤、黄、緑と言った食材の色合いで栄養バランスを考える三色食品群、厚生労働省が提唱する日本の食事摂取基準に基づいて設定された食品のグループの六つの基礎食品群の満たす食事が栄養バランスが取れていると言えます。
栄養バランスを整えるには完全栄養食がおすすめ
毎日の食事で栄養バランスを整えることは、現代社会では大変と考えている人も多いのでは無いのでしょうか?そんな貴方には、完全栄養食を取り入れることがおすすめです。
そもそも完全栄養食とはどのような食事なのか?メリットとデメリットとともに解説いたします。
完全栄養食とは
完全栄養食とは、人が生きるために必要な全ての栄養素が含まれている食品です。摂取する一日の目安のカロリーや必要な栄養素である糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルが全て含まれています。
日本で販売されている完全栄養食は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」や「栄養素等表示基準値」に基づき、1食あたりにおいて1日に必要な栄養素の3分の1以上を摂取できるようになっています。
また、固形、ゼリー状といった食べやすさを重視した商品が多いことも大きな特徴です。
完全栄養食のメリット
完全栄養食の最大のメリットは一度に多くの栄養素を偏りなく摂ることができる点です。
一度に多くの栄養素を適切なバランスで摂取することが、体の正常な機能をサポートする基本になります。たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、これらの要素を適切に摂取することは、体のエネルギー供給、細胞機能、免疫力の維持にとても大切です。
そして、栄養バランスが取れた食事を続けることで、栄養不足や一部分の偏りがある栄養過剰を防ぐことができます。そして、健康的な食事パターンが続くことで、様々な健康上の問題の予防に役立つのです。
更には、心臓病、糖尿病、高血圧、肥満などの慢性疾患の予防や、美容、体重管理にもつながるので、健康的で素敵な体を手に入れられます。
また、免疫機能を強化し、感染症に対する抵抗力を向上させることもできるため、感染症予防にも寄与します。
完全栄養食には消化器系の健康向上も含まれます。食物繊維や発酵食品を摂ることは、便秘や消化不良を軽減し、腸内環境を改善するのに役立ちます。
完全栄養食のデメリット
完全栄養食にはいくつかのデメリットもあります。
完全栄養食のデメリットは、食事が単調になることで、味わいや食事の楽しみが制限されてしまう点です。
人は様々な食材を同時に食べることで、口周り、特にあごの筋肉を使用します。しかし、完全栄養食の場合は多くの食材を食べなくても栄養摂取ができるため、顎の筋肉の使用頻度が減り、顎関節症などのリスクがあがります。
更に、噛む回数も減少するため、食事の満足度や満腹度合いも物足りなく感じてしまう人も少なくありません。
完全栄養食は価格が高い点もデメリットの一つです。完全栄養食に必要な食材やサプリメントは通常の食事と比べて高価なことが多いです。
そのため、毎日、完全栄養食を取り入れたり購入し続けたりすることが難しいという悩みもあるのです。
完全栄養食に含まれる栄養素
完全栄養食と呼ばれる食材には、どのような栄養素が含まれているのでしょうか?含まれている栄養素を知って賢く取り入れることで、より健康的な体を手にする助けになります。
五大栄養素
五大栄養素とは、生命を維持し、さまざまな生理機能を可能にするため重要な栄養素の分類です。成分名と大まかな働き、その役割を順に紹介します。
炭水化物 :エネルギー供給源
炭水化物は体の主要なエネルギー源として機能します。細胞活動のエネルギー供給、代謝プロセスのサポート、そして日常の活動全般での活力維持に不可欠です。
脂質 :エネルギー貯蔵と体の温度調整
脂質はエネルギーの貯蔵源として働き、温度調節や断熱にも重要な栄養素です。体の活動に必要な糖質などが不足すると燃焼しエネルギーにもなります。また、脂溶性ビタミンの吸収を助け、全体的な栄養バランスに貢献しています。
タンパク質 : 体とホルモン酵素の材料
タンパク質は組織の建設要素としての重要な役割を果たし、成長、修復、維持に役立ちます。さらに、酵素やホルモンの必須成分として、様々な生理機能に影響を与えます。
ビタミン :代謝抗酸化作用・免疫力向上のサポート
ビタミンは微量栄養素として分類され、多様な代謝プロセスに関与します。その多岐にわたる役割には、免疫機能の強化、抗酸化作用、健康維持のための様々な生化学反応のサポートが含まれます。
ミネラル : 組織や酵素の必須元素
必須ミネラルは、多くの生理的プロセスに必要な微量栄養素です。カルシウムのように骨の健康を促進するものから、鉄のように血液中の酸素輸送をサポートするものまで、ミネラルは全体的な健康の維持に欠かせません。
完全栄養食にはこの5大栄養素がバランスよく含まれているだけではなく、一日の目安カロリーがオーバーしないように工夫されています。
ミネラル
ミネラルは身体に必要な微量栄養素で、主に鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ナトリウムなどが含まれます。
これらのミネラルは、体内の様々な生化学的プロセスに必要で、骨の健康、血液の機能、神経伝達、水分バランスなどに関与します。
鉄は、ヘモグロビンの構成成分であり、酸素を運搬する役割を果たしています。カルシウムは、骨や歯の形成と維持、神経伝達、筋肉の収縮に不可欠です。
マグネシウムは、エネルギー代謝や神経伝達に関与し、健康な心臓機能にも寄与します。亜鉛は、免疫機能のサポートやDNA合成に重要です。
カリウムとナトリウムは、体内の水分バランスや血圧の調節に寄与しており、神経伝達や筋肉の正常な機能にも影響を与えます。
微量ではあるものの、免疫機能や酵素の材料、特定の細胞の機能において必須な微量栄養素です。
ビタミン
ビタミンは、微量栄養素の総称で、水に溶けやすい水溶性ビタミンと油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けられます。
これらのビタミンは体内の様々な生化学的プロセスにおいて不可欠であり、代謝、免疫機能、抗酸化作用などに重要な役割を果たしています。
水溶性ビタミンには、ビタミンCやB群(B1、B2、B3、B5、B6、B7、B9、B12)などが含まれます。ビタミンCは抗酸化作用を有し、細胞を酸化ストレスから保護し、免疫機能をサポートします。B群のビタミンはエネルギー産生に不可欠であり、特にビタミンB12は神経機能にも関与しています。
一方、脂溶性ビタミンには、ビタミンA、D、E、Kがあります。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の健康をサポートします。ビタミンAは視力や皮膚の健康に寄与します。ビタミンEは抗酸化作用を持っており、細胞を酸化から守ります。ビタミンKは血液凝固に関与しています。
栄養バランスを整えるための完全栄養食の摂り方
完全栄養食のおすすめの取り入れ方は、1日1食ほどのペースで、食事の置き換えとすることです。
一つの完全栄養食商品には、通常の食事に必要な栄養素の約3分の1が含まれています。そのため、忙しい日や食事を手早く摂りたいときに役立ちます。
しかし、毎日の食事を完全栄養食に頼りっきりにするのはおすすめしません。その理由は、食事によって咀嚼が減ることで噛む筋肉が衰えることや、根本的に食事を楽しむ機会が減ってしまうことです。食事をするメリットが減り、ストレスの要因にもなります。
そのため、最も忙しい時間帯や急いで食事を済ませたいときに利用し、他は通常の食事にしてバランスを取るのがポイントです。
また、完全栄養食の中には、ダイエット目的で脂質、糖質、カロリーを抑えた商品もあります。しかし、脂質や糖質はエネルギー源として重要な栄養素です。もし、完全栄養食を補助として使用するなら、季節の食材や主菜・副菜を楽しむために、通常の食事と組み合わせた献立にするのが良いでしょう。これにより、バランスのとれた食事を維持しつつ、完全栄養食を利用できます。
さらに、完全栄養食はおやつや飲料としても活用できます。ドリンクタイプやおやつタイプの完全栄養食を、通常のお菓子や清涼飲料と置き換えることで、間食の罪悪感を取り除きながら、必要な栄養素を補えます。
おすすめの完全栄養食:IZMO 完全栄養の素
IZMO 完全栄養の素は管理栄養士の監修のもと、アルプロンが開発した完全栄養食です。1食あたりに、1日に必要な13種類のビタミン、9種類のミネラル、およびタンパク質21gをぎゅぎゅっと配合しました。
さらに、活きた乳酸菌、コラーゲン、食物繊維も配合し、栄養バランスだけではなく、腸などの内臓の機能も考えたバランス完全栄養食です。
この製品は、朝ごはんや夜ご飯の代替として取り入れるだけではなく、溶かした状態で料理に混ぜても美味しく食べられます。毎日作るご飯の栄養バランスが心配という人でも取り入れやすいことが大きな特徴です。
1食分は40gで、水や牛乳などに混ぜたり、ヨーグルトやデザートにかけたりして楽しむことができます。素材にこだわり、取り入れやすさや腸への健康も意識したアルプロンイチオシ商品です。
IZMO 完全栄養の素で摂取できる栄養素
IZMO 完全栄養素の元で摂取できる栄養素とはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?その働きと商品の特徴をわかりやすく紹介します。
1日に必要なビタミン13種類
IZMO 完全栄養食で摂取できるビタミンは、人間が生きるのに摂取が必要とされている以下のビタミン13種類です。
- ・ビタミンB1
- ・ビタミンB2
- ・ナイアシン
- ・パントテン酸
- ・ビタミンB6
- ・ビオチン
- ・葉酸
- ・ビタミンB12
- ・ビタミンA
- ・ビタミンC
- ・ビタミンD
- ・ビタミンE
- ・ビタミンK
ビタミンは単独では働きが弱いものの、それぞれの相互作用によって体の機能を向上させる土台を作る力を持っています。
1日に必要なミネラル9種類
IZMO 完全栄養素の元で摂取できるミネラルは以下の9種類。
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・鉄
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・銅
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・亜鉛
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・カルシウム
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・マグネシウム
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・セレン
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・クロム
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・マンガン
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・モリブデン
これらは免疫や酵素、特定の細胞や組織に不可欠なミネラルです。
1食に必要なプロテイン
IZMO 完全栄養食には、プロテインが含まれており、1食の目安量で21gを摂取できます。一般的な目安として、成人の場合、1日あたり体重1キログラムにつき0.8〜1.2グラムのプロテインの摂取が望ましいと言われています。
例えば、体重60キログラムの成人の場合、1日に必要なプロテインの量は約48〜72グラムです。
1食で21g摂取できるIZMO 完全栄養の素は、手軽に1日に必要な量の1/3のプロテインを摂取できると言えます。
活きた乳酸菌、コラーゲン、食物繊維
IZMO完全栄養食には、活きた乳酸菌やコラーゲン、食物繊維も配合されています。
一般的な完全栄養食にはこれらの栄養素が含まれていないものも多いです。しかし、完全栄養食を摂取しても腸の吸収が良くなければ体が栄養素を活かすことはできません。
そこで、栄養吸収をより良くするために乳酸菌や食物繊維を配合しました。また、コラーゲンは多くのビタミンやミネラル、プロテインと一緒に摂取することで肌の代謝を良くする力をより強く発揮します。
取り入れやすい完全栄養食で簡単に元気な体を維持しよう
完全栄養食は、食事による栄養の偏りを手軽に改善できる優秀な食品です。
多くの栄養素を一日の目安量近く摂取することが難しい現代人にとって大きな味方であるものの、手軽さゆえのデメリットもあります。
しかし、取り入れ方に気を付ければ、完全栄養食は簡単に栄養不足を解消できる心強い味方になります。完全栄養食を適切に活用して、元気な体を手に入れましょう。
<参考>
三色食品群 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/pdf/katyo_p14_15.pdf
食事摂取基準 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf