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運動中は水だけだと逆効果?運動中に適した水分補給とは?

運動中は水だけだと逆効果?運動中に適した水分補給とは?

監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊

プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message

 

運動中の飲み物はみなさんなにを飲まれていますか?

プロテインを飲まれる方やスポーツドリンク、水やお茶など人によって様々かと思います。

この時期は特に発汗量も増えるので脱水によるパフォーマンスの低下を防ぐためにも、摂取する水分の質にも量にもこだわりたいものです。
今回は少しアスリート目線での記事にはなりますが、運動中にどんな飲料を選べばいいのか解説していきます。

目次

運動中の水分補給は水だけだと逆効果になりうる

汗には水分以外にもミネラルや電解質が含まれているため、実は水だけ飲んでいても水分補給とはいえません。

水分補給を適切に行う際には水分、電解質、糖質を補給する必要があります。

 

もし電解質などを含まないただのお水だけをがぶがぶ飲んでしまうと脱水のリスクが高まるうえ、低ナトリウム血症になる可能性も出てきてしまいます。

 

※低ナトリウム血症とは
血液中のナトリウムが低下した状態。
活動筋への血液量の減少、発汗率の低下、頭痛、吐き気、平衡感覚障害といった症状が現れる。男性より女性でなりやすい。

運動時に適した水分とは?

日本スポーツ協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」によると運動時に適した水分として以下のものが推奨されています。

① 5~15℃に冷やした水を用いる

② 飲みやすい組成にする

③ 胃にたまりにくい組成および量にする

① 5~15℃に冷やした水を用いる

熱中症対策や運動中の時は体温より冷たい温度の水分を飲むことで、火照った身体を内側から冷やしてくれる効果があり、胃から小腸へ排出される速度が速くなります。

しかし安静時において冷たすぎたり熱すぎるものよりも体温と同程度である場合には胃排出速度が速くなると言われているので状況に合わせて水分の温度を決めましょう!

 

胃から小腸へ排出される時間が遅いと胃での滞留時間が長くなるので、誰しもが経験したことがあるお腹のチャポチャポ感へ繋がってしまいます。
なので胃排出速度はパフォーマンス向上だけでなく日常をスマートに過ごすためにも大事なポイント!

② 飲みやすい組成にする

飲みやすい組成とは具体的にいうと0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg)と4~8%程度の糖質が含まれたもののことをさします。

要するにスポーツドリンクですね。


広くスポーツドリンクといっても実は「ハイポトニック飲料」「アイソトニック飲料」の2種類に分けられることはご存じでしょうか?
この2種類の違いは成分(浸透圧)の違いによって分けられます。

アイソトニック飲料

塩分は0.1~0.2%、糖質が約4~6%のスポーツドリンクのことで安静時の体液と同じ浸透圧のため体内へ水分・塩分・糖分がバランスよく早く吸収されるのが特徴です。

しかし発汗量が多くなると塩分が多く排出されて体内の浸透圧が低く(体液が薄まる)なるので、運動時には安静時と比べると吸収スピードが遅くなります。

またもう一つ特徴として、糖質量が多いので長時間の運動のエネルギーになります。

そのため、アイソトニック飲料は運動前の水分補給として飲むのが良いとされています。

※糖質はエネルギー補給の目的もありますが塩分と糖分を一緒に摂ることで素早い水分吸収を促してくれます。

ハイポトニック飲料

一方ハイポトニック飲料には塩分は0.1%程度、糖質は2%程度と低めで安静時の体液より低い浸透圧のスポーツドリンクです。

運動による発汗で体液が薄くなっている時はアイソトニック飲料よりもハイポトニック飲料の方が水分が速やかに吸収されるため運動中はハイポトニック飲料が向いてるといえます。

 

ただし運動中にエネルギー不足を感じた場合は糖質濃度が高いアイソトニック飲料を飲むといったコンディションに合わせて飲む飲料水を変えましょう!

 

③胃に溜まりにくい組成・量にする

胃にたまりにくい組成というのは前述したように自分のコンデションに合わせた糖質濃度や水分の温度に左右されます。
量に関しては1分間当たり~1ℊの割合で糖質を摂取するとパフォーマンスが向上すると言われています。

これは糖質濃度が4~8%のスポーツドリンクで上記の糖質量を摂取しようとした場合、計算上1時間で0.6~1.2Lを摂取することが必要です。

 

特にトレーニングをしていない方は比較的発汗量が少ないので、その場合は体水分量を維持するために飲料及び食品から1日あたり3.7Lの水分を摂取することが推奨されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一概に水分補給と言っても成分の違いや温度の違いによって吸収の仕方や体内への影響の仕方が変わってくることを分かっていただけたでしょうか?

普段なにげなく飲んでる水分に少し意識を向けて、頑張ってるトレーニングをより効率的なものにしたり、試合中でのパフォーマンス維持・向上、日常のコンデションを整えることに役立ててみてください。


甘いスポーツドリンクばっかりを飲んでいると糖分・塩分過多・虫歯になるリスクも高まるので飲みすぎにはご注意を!

参考文献

・日本体育協会:「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」,2013.
・東京大学出版会 : 「スポーツ栄養学ハンドブック」,2021

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