監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊
プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message
花粉症のつらい症状を、普段の食習慣で対策できないかと考えている人も多いのではないでしょうか?
食事で花粉症を治すことは残念ながらできませんが、症状を和らげることは可能です。
逆に、花粉症が悪化する可能性のある食べ物もあるので気をつけなければなりません。
この記事では、花粉症におすすめの食べ物・飲み物を紹介します。
花粉にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
花粉症とは
花粉症とは、季節性のアレルギー性鼻炎のことで、スギやヒノキなど約60種類の植物の花粉が原因となる
疾患です。
主な症状は以下の通りです。
・目の痒み、涙
・くしゃみ
・鼻水
その他に、肌の一部が赤くなったり、痒みが出たりなど皮膚症状が生じることもあります。
花粉症の発症メカニズム
花粉症は20~40代で発症する人が多いですが、最近は10代でも発症する場合があります。
あるいは、若い時は無症状だったのに、年齢を重ねてから突然発症するケースも少なくありません。
このように花粉症の症状が急に現れるのは、抗体の量が一定レベルを超えることが原因です。
花粉症の発症メカニズムとして、最初に、目や鼻の粘膜に花粉が付着すると、異物が侵入したとみなして身体の中で「IgE抗体」が作られます。
毎年徐々に蓄積されたIgE抗体があるレベルに達すると、再び花粉が付着した時に免疫反応として肥満細胞からヒスタミンが放出され、目の痒みや鼻水等の症状を引き起こすのです。
花粉症は遺伝する疾患ではありませんが、アレルギーに反応しやすいなど体質的に遺伝することもあるといわれています。しかし、生活環境や習慣も影響しているため、一概に遺伝性の疾患とは言い切れません。
花粉症におすすめの食べ物・飲み物・栄養素・即効性はある?
2022年3月に環境省で発行された「花粉症環境保健マニュアル」によると、民間療法で花粉症に有効と認められたものはありません。
しかし、免疫反応のひとつである花粉症は、腸内環境を整えることが症状の緩和につながるのではないかと見解を示しています。
ここでは花粉症におすすめの、腸内環境に良いとされる食べ物・飲み物を紹介します。
栄養素に分けて解説しますので、睡眠や運動などセルフケアの一環として取り入れてみてください。
花粉症に食べ物・飲み物での即効性は期待できません。というのも、オメガ6系とオメガ3系脂肪酸の不均衡なバランス及び腸内環境の乱れがアレルギー増加の一因とされているため、これらを日常的に整えておくことが重要です。
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
食物繊維
水溶性の食物繊維は、善玉菌を増やし、摂り過ぎた脂質・塩分の吸収を抑える働きを持っています。
・大麦
・大根
・わかめ
・キウイ
など、野菜や海藻類、果物などに豊富に含まれています。
不溶性の食物繊維は、お通じを良くする働きがあり、ごぼうや大豆、きのこ類などの食べ物が代表的です。
食物繊維を摂取することで、悪玉菌が減少することが認められているので、毎食にプラスするよう心がけましょう。
オリゴ糖
オリゴ糖の特徴は、胃酸などで消化・吸収されずに大腸まで届きやすいということです。
オリゴ糖を摂取すると、善玉菌であるビフィズス菌のエサとなり、腸内環境を整えてくれます。
また、マウス実験により、腸内の免疫調節機能が向上したことも2007年の研究で示されました。
・バナナ
・リンゴ
・玉ねぎ
・アスパラガス
・キャベツ
・豆乳
など、毎日取り入れやすい食べ物に豊富に含まれています。豆乳やバナナジュースなどの飲み物であれば、毎日の習慣として気軽に摂取しやすいでしょう。
発酵食品
発酵食品は、善玉菌が増えることで、異物を排除する免疫細胞の活性化が向上し、疾病予防が期待できる
といわれています。
・キムチ
・ヨーグルト
・塩麹
・ぬか漬け
・味噌
・納豆
など、栄養価が高く、朝食でも食べやすい食材ばかりです。
飲み物では、甘酒やヨーグルト飲料がおすすめ。
甘酒は、オリゴ糖や食物繊維も豊富なので便秘解消が期待できます。
ポリフェノール
チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは、ヒスタミン放出を抑制する働きがあり、アレルギー症状の緩和が期待できます。
また、カカオポリフェノールは、IgE抗体の産生を抑え、アレルギー症状の発症そのものを予防できる可能性があると考えられています。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸も、ポリフェノールの一種でありおすすめの飲み物です。
マウス実験では、クロロゲン酸を含む水を2週間続けて飲むことで、アレルギー性鼻炎症状のくしゃみを抑制できるということが示されました。
コーヒーには、オリゴ糖も含まれているため、腸内細菌のエサとなり善玉菌を増やすことが可能です。
しかし、カフェインの覚醒作用があるため、コーヒーは一日あたり4~5杯が目安。夕方以降は飲まないなど、飲み方に気をつけましょう。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、エゴマ油やアマニ油、サバ・イワシなどの青魚に豊富に含まれています。
順天堂大学の研究によると、アマニ油を含むエサを2カ月間与えたマウスは、ブタクサ花粉による
アレルギー性結膜炎の症状を抑制することが確認されました。
オメガ3脂肪酸を含む油は、熱に弱く酸化しやすいため、納豆やサラダにかけて摂取すると良いでしょう。
花粉症で気をつけたい食べ物
花粉症は、特定の食べ物で「口腔アレルギー症候群」を引き起こす可能性があります。
口腔アレルギー症候群は、口の痒みや違和感、唇の腫れが主な症状で、重篤な場合は呼吸困難を生じる場合もあるため、事前に把握しておくと安心です。
下記の食べ物は、アレルギー症状が出る可能性があるため、注意しましょう。
▽スギ花粉
トマト、パイナップル、キウイ、マンゴー
▽イネ花粉
トマト、メロン、バナナ、セロリ
▽ブタクサ花粉
メロン、スイカ、イチゴ、キュウリ
花粉のアレルギーを詳しく知りたい場合は、医療機関で血液検査や皮内テストを行うことが
望ましいです。
花粉症で気をつけたい飲み物
花粉に役立つ栄養素について
花粉症に有効な栄養素について、オメガ6系とオメガ3系脂肪酸の不均衡なバランス及び腸内環境の乱れがアレルギー増加の一因とされています。
オメガ6系脂肪酸は肉や加工食品、スナック菓子に、オメガ3系脂肪酸は魚、ナッツ、海藻類に多く含まれており、日本人の食生活の欧米化によるオメガ3の減少がアレルギーの増加と関連している可能性があります。
腸内環境を整え、免疫機能を健康に保つためには、EPA、DHA、ビタミン、亜鉛、乳酸菌、食物繊維などが重要です。
栄養バランスを整えて花粉症対策を!
花粉症は、季節性アレルギー性鼻炎のことで、免疫反応として鼻水や目の痒みなどの症状を引き起こしています。
医学的に花粉に効果があると証明された食べ物・飲み物はありませんが、
腸内環境を整えることが花粉症の症状緩和に役立つのではないかといわれています。
もし、日常生活に支障が出るくらい辛い症状が続く場合は、医療機関を受診しましょう。
食生活が乱れている方は、今回紹介した食べ物・飲み物を取り入れてみてください。
参考文献
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
https://www.ssp.co.jp/alesion/hayfever/
https://brand.taisho.co.jp/allerlab/kafun/028/
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/polyphenol.html
https://www.meiji.co.jp/chocohealthlife/relation/allergy/
https://www.pearlace.co.jp/know-and-fun/tips/post-47.html
https://www.meijifm.co.jp/products/material/oligo/meioligo/functional/