監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊
プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message
筋肉をつけ、かっこいい体になるため心がけていることはありますか?
手軽にできる方法の1つがサプリメントの摂取です。サプリメントの中でも「筋肉=プロテイン」というイメージが強い人も多いのでは。
しかし、本当にプロテインを飲めば筋肉はつくのでしょうか。今回はプロテインを飲むことによって起こる体の変化について解説していきます。
【結論】プロテイン・サプリメントを飲むだけでは筋肉はつかない
結論からいえば、プロテインを「飲むだけ」では筋肉はつきません。
プロテインはあくまでも栄養を補給するものだからです。
では、なぜ筋肉づくりに励んでいる人の多くがプロテインを飲んでいるのでしょうか。
皆さんご存じの通り、プロテインは三大栄養素の一つである「たんぱく質」です。
牛乳や大豆、卵などたんぱく質が多く含まれている食品から、たんぱく質だけを抽出したのがプロテイン商品です。
食事からでも摂取できるたんぱく質を、サプリメントで摂取するには理由があります。
食事だけで筋肉づくりに必要な量のたんぱく質を摂ろうとすると、食事のボリュームがとても多くなってしまいます。
食べる量が増えることでたんぱく質の摂取が多くなる一方、余分な糖質や脂質なども多く摂取してしまうことにもつながってしまいます。
サプリメントであれば、たんぱく質だけを効率よく摂取することができます。手軽にたんぱく質のみを補給できるという点でプロテインは活用されているのです。
筋肉をつけるためにはどうすればいいか
では、プロテインを効果的に活用し筋肉をつけるためには、どうすればいいのでしょうか。
それには筋肉が成長するメカニズムを知っておく必要があります。
筋肉がつくメカニズム①:筋肉が損傷する
筋肉をつけるには、筋肉に対して普段以上の刺激を与えることが必要になります。
そのために筋トレを行うのです。
筋トレなどで刺激を筋肉に与えると、筋肉線維の一部が部分的に損傷します。
この筋肉線維の損傷が筋肉をつける際の第1のポイントになります。
筋肉がつくメカニズム②損傷部が回復・再生する
損傷してしまった筋肉線維は、損傷したままではなく再生していきます。
実は、この再生が筋肉を増やすポイント。
筋肉線維が再生する際に、1本1本の筋肉繊維が太くなって再生されているのです。(プロテインが活用されるのがココ!)
たんぱく質がしっかり体内に補充されていなくては、効率よく筋肉線維を再生することができなくなってしまいます。
筋肉がつくメカニズム③損傷→回復を繰り返し、筋肉がついていく
筋肉線維の「損傷→再生」を繰り返すことで、だんだん筋肉がついていきます。
筋トレで徐々に負荷を増やすのは、この損傷を引き起こすため。
筋肉がついてくれば、いままでの刺激に慣れてしまい損傷が起こらなくなってしまうのです。
常に損傷→再生のサイクルを作り出すことが筋肉をつけるために必要なのです。
筋肉増加を目的としたプロテイン・サプリメントの飲み方
筋肉をつけるためには、プロテインの効果的な飲み方をしっかり頭に入れておきましょう。
プロテインを飲むタイミング①:筋トレ直後
プロテインを最も活用できるのが、筋トレ直後の摂取です。
筋トレ直後は筋肉の合成を促す成長ホルモンやインスリンの分泌が活発になり、栄養補給に絶好のタイミングです。
筋肉の分解が早い高齢者を対象にした研究では、
「筋トレ後30分以内にプロテインを摂取」
「筋トレ後2時間後にプロテインを摂取」
で比較するとその効果の差は大きく、2時間後に摂取した場合、効果が低下してしまうという結果もあるほどです。
せっかく手軽にたんぱく質を摂取できるプロテイン商品を活用するなら、トレーニング直後に摂取することを忘れないようにしましょう。
プロテインを飲むタイミング②:就寝前
就寝中も筋肉の再生を促す成長ホルモンが多く分泌するタイミングです。
しかし、就寝中は栄養補給ができません。
そのため、就寝前にプロテインを摂取しておきましょう。
寝る前にしっかりたんぱく質を補給しておくことで、就寝中の筋肉の再生を効果的に行うことができるのです。
プロテインを飲むタイミング③:起床後
就寝中の6~7時間は栄養を補給できないため起床後はエネルギーが切れた状態です。
そのまま動き出してしまうとエネルギー不足により筋肉の分解がどんどん進んでしまいます。
また、体づくりには1食で大量のたんぱく質を摂取するよりも、3食でしっかりたんぱく質を摂取したほうがいいという研究もあります。
忙しくて朝食を抜きがちという人も多いですが、そんな時こそすぐに摂取できるプロテインを活用しましょう。
プロテインの摂取量
筋肉をつけるためには、1日で体重1kgあたり2g程度のたんぱく質摂取が理想です。
これの量をすべて食事から摂取するとなると、なかなか大変です。
先述の通り食事のボリュームは多いし、余分な栄養素も多く摂取してしまうことにつながります。
バランスの取れた3食にプラスしてトレーニング後・就寝前などの効果的なタイミングでプロテインを摂取し、トータルでたんぱく質の摂取量を確保するようにしましょう。
効果を高める飲み方:吸収の早い糖質を摂取しよう
ストイックに筋肉だけを増やすというよりも、筋肉を増やして体を大きくしたい!という方は、プロテイン摂取と同時に糖質を一緒に摂るのもよいでしょう。
糖質を一緒に摂ることで、筋肉をより効率よく大きくさせることができます。
特に筋トレ直後はエネルギー不足に陥りがち。
摂取したたんぱく質を効率よく筋肉にするには、エネルギー不足を解消する糖質を同時に摂ることで、たんぱく質が効率よく筋肉づくりに働きます。
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まとめ
プロテインが一般的になってきた今でも「プロテイン=筋肉をつける薬」のようなイメージを持っている方がいるかもしれませんね。
しかし、プロテインは食品と同じく栄養を摂取する商品であり、薬ではありません。
また、栄養摂取だけでは筋肉は増えていかないのも事実です。
筋肉を増やすには、運動・栄養・休養のサイクルがしっかり回ることが重要なのです。
その一つのアクセントとしてプロテインを活用すると、効率よく筋肉づくりを行うことができるでしょう。