監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊
プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message
多くのスポーツ選手やトレーニング愛好家に活用されているサプリメントの一つ「BCAA」。
一般の方々にも広く知れ渡り、活用されている栄養素の一つです。
しかし、BCAAにはどんな効果があり、どんな時に飲めばいいのかご存じでしょうか。今回はこのBCAAについて解説していきます。
BCAAとは?
たんぱく質を構成するアミノ酸の中で、食事から摂取しなければ補給できない「必須アミノ酸」。
体を構成し生命維持に必要な20種類あるアミノ酸のうち、9種類が必須アミノ酸です。
BCAAは、この必須アミノ酸の中から、「バリン・ロイシン・イソロイシン」の3つが配合されたサプリメントのことを指します。
BCAAのより詳細の記事はこちらから↓
BCAAの効果
1.筋肉を合成しやすい
筋肉量を増やすためには、筋肉の元となるたんぱく質を摂取する必要があります。しかし、摂取したたんぱく質すべてが筋肉になるわけではありません。BCAAは、筋肉に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めていて、筋細胞の主な材料となっています。また、BCAAは筋肉で使用される割合が高く、筋肉づくりに効果の高いアミノ酸です。そのため、体づくりのサプリメントとして人気が高いのです。
2.筋肉の分解を防ぐ
BCAAは筋肉の合成を促すだけでなく、筋肉の分解を防ぎます。
体はエネルギーが不足すると、体脂肪や筋肉を分解してエネルギーを生み出します。
運動時も血糖や肝臓のグリコーゲンが先に消費され、それらのエネルギーが不足すると、筋肉を分解しエネルギーを作り出すのです。
この筋肉の分解を防ぐのにBCAAが役立ちます。
BCAAを摂取すると、摂取したBCAAがエネルギーとして使われ筋肉の分解を防ぐ効果があることが分かっています。
筋肉が分解されないため、筋肉量を低下させることなく筋トレやダイエットを行うことができるのです。
3.ケガからの回復
BCAAは、ケガからの回復にも効果を発揮します。トレーニング前にBCAAを摂取すると、筋肉へのダメージを減少させたり運動後に起こる筋肉痛の発生を抑えることができます。
特に肉離れなどの筋肉系のケガには効果的。リハビリ中に摂取することで、ケガが早く治るという報告があります。また、疲労回復にも役立ちます。
トレーニングによっておこる筋肉の疲労を抹消性疲労といいますが、BCAAはこの末梢性疲労だけでなく、脳が疲労して疲れを感じる中枢性疲労の回復にも効果があります。
4.体脂肪の減少
BCAAは、体脂肪の減少にも効果を発揮します。これはBCAAの摂取によって摂取カロリーが抑えられたり、体脂肪を燃焼させエネルギーに変える働きを持つ成長ホルモンやインスリンなどの分泌を促すからではないかと考えられています。筋肉の分解を抑えながら体脂肪を減らすことができるため、減量中やダイエット中の摂取におすすめです。
EAAやプロテインの違いは?
体づくりに効果的なサプリメントには、他にもプロテインやEAAなどがあります。どれも筋肉づくりに効果があるサプリメントですが、それぞれメリット・デメリットがあります。
それぞれに違いに関してはほか記事で紹介していますのでそちらを参考にしていただき、今回はそれぞれのおすすめの使い方について説明していきます。
おすすめの活用法
ここではBCAAをメインに、EAAとプロテインとの飲み分け方を解説します。
EAAとBCAAは運動前に
BCAAやEAAなどの吸収の早いサプリメントの摂取は、運動とセットで考えることが重要です。そのため、運動前や運動中に摂取するようにしましょう。
特に運動前の摂取がポイント。運動中のエネルギー不足を防ぎ、最大限のパフォーマンスを発揮するためにはトレーニングを始める30分前には摂取しておくとよいでしょう。
吸収の早いBCAAやEAAは、数分で体内への吸収が始まり、30分後までに血中濃度が最大になることが分かっています。
BCAA・EAAを運動中に活用
運動中のエネルギー補給としてもBCAAやEAAは効果的。血中BCAA濃度の低下やエネルギー不足を補うためにも、運動中にもBCAAやEAAを摂取するとよいでしょう。どちらも同じ効果がありますが、アミノ酸はバランスが崩れると効果を発揮できなくなるので、トータル的に必須アミノ酸が含まれているEAAがおすすめです。
プロテインは運動後に
運動後は筋肉をつけるための栄養摂取にベストなタイミング。特に運動後30分以内はゴールデンタイムと呼ばれ、筋肉の合成が活発な時間帯です。このタイミングでしっかりエネルギー補給をすることが筋肉づくりに効果的です。
たんぱく質量を十分に確保する必要がある運動後には、プロテインがおすすめ。緩やかに長時間たんぱく質を補給することができるからです。この時BCAAやEAAなども併用するとさらに効果的です。運動直後にBCAAやEAAを摂取し、その後、食事やプロテインで十分なたんぱく質量を補給するのがベスト。
プロテインについて他の記事で詳しく説明してるので併せて読んでみてください。
BCAAの飲み方
運動中の血中のBCAA濃度を保つためには、2000㎎以上摂取することが推奨されます。1000mg以下では約1時間で血中のBCAA濃度が摂取前と同じくらいに低下してしまうことが分かっています。目安としては、体重1kgあたり0.1gの摂取量が効果的です。
基本的に水で飲むことをおすすめします。BCAAはいろいろな商品が発売されており、味も豊富。
水でも美味しく飲むことができます。
スポーツドリンクや果汁100%ジュースでもよいのですが、飲料には少なからずカロリーが含まれていますので、体脂肪の減少を目的としている人は、水がベストです。
BCAAを飲んで適切な運動を!
BCAAは薬ではありません。
そのため、摂取による副作用は全く心配ありません。だからといって、運動をせずにBCAAだけ飲んでいても効果は現れません。
あくまでもサプリメントは“補助”食品です。普段からの生活習慣をしっかり整えたうえで、サプリメントを活用するということを忘れずに、BCAAを体づくりに活用しましょう!
参考文献
運動による筋損傷に対する分岐鎖アミノ酸の投与効果
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/descente28_01_shimomura.pdf