監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊
プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message
「プロテイン」って本当に効果があるの?と、疑問に思っている方も多いと思います。
そもそもプロテインとは、どういったものでしょうか?
今回は、プロテインとは何なのかという基本から、飲み方のポイントやおすすめのプロテインを、スポーツトレーナーが監修・解説します。
タンパク質とは?プロテインとは?
トレーニング初心者やプロテイン初心者にとって、プロテインは飲むだけで筋肉がつく“薬”のようなイメージかもしれませんが、それは間違いです。
プロテインとは、「たんぱく質」のことです。
たんぱく質を摂取するためのサプリメントが、プロテインパウダーやプロテインバーなのです。
たんぱく質のはたらき
「たんぱく質」は、「炭水化物」、「脂質」と合わせて三大栄養素とされるほど、重要な栄養素の一つです。
たんぱく質の主な働きは、体を作ること。筋肉や皮膚、髪の毛など体を構成する材料となります。内臓も筋肉でできているので、体全体がたんぱく質で作られているといえます。
また、たんぱく質は体を動かすエネルギーや、代謝を調整する酵素やホルモン、免疫物質になるなど、生命活動に必要不可欠な様々な役割を果たしているのです。
たんぱく質の摂取目安量について
厚生労働省の提案する「日本人のための食事摂取基準(2020年版)」によると、1日あたりのたんぱく質摂取目安量は以下のようになっています。
【男性の場合】
年齢等(歳) | 推定平均必要量(g) | 推奨量(g) |
---|---|---|
1〜2 | 15 | 20 |
3〜5 | 20 | 25 |
6〜7 | 25 | 30 |
8〜9 | 30 | 40 |
10〜11 | 40 | 45 |
12〜14 | 50 | 60 |
15〜17 | 50 | 65 |
18〜29 | 50 | 65 |
30〜49 | 50 | 65 |
50〜64 | 50 | 65 |
65〜74 | 50 | 60 |
75〜 | 50 | 60 |
【女性の場合】
年齢等(歳) | 推定平均必要量(g) | 推奨量(g) |
---|---|---|
1〜2 | 15 | 20 |
3〜5 | 20 | 25 |
6〜7 | 25 | 30 |
8〜9 | 30 | 40 |
10〜11 | 40 | 50 |
12〜14 | 45 | 55 |
15〜17 | 45 | 55 |
18〜29 | 40 | 50 |
30〜49 | 40 | 50 |
50〜64 | 40 | 50 |
65〜74 | 40 | 50 |
75〜 | 40 | 50 |
また、これらの数値は、健康維持目的のための数値なので、筋肉を増やす目的の場合は、この目安以上にたんぱく質を摂取する必要があります。
なぜプロテインを飲む必要があるのか?
たんぱく質は、肉や魚、卵、乳製品、大豆など、様々な食品から摂取することができます。
ではなぜ、プロテインを飲む必要があるのでしょうか。
プロテインの最大のメリットは、たんぱく質だけを効率よく摂取することができるという点です。目標とするたんぱく質量を普段の食事だけで摂取しようとすると、食事量が増えてしまいます。食事量が増えれば、たんぱく質だけでなく、炭水化物や脂質などほかの栄養素の摂取量も増えてしまい、筋肉だけでなく体脂肪の増加につながってしまうのです。
そのため、たんぱく質だけを摂取できるように、サプリメントのプロテインが活用されるのです。
また、摂取したいときに手軽に飲める、食事ができない状況でも栄養補給ができるという点も、プロテインのメリットの一つです。
プロテインの種類
代表的なプロテインである「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」「ソイプロテイン」の特徴や、製造方法をチェックしてみましょう。
ホエイプロテイン
もっとも代表的なプロテインといえば、「ホエイプロテイン」です。
ホエイプロテインはプロテインの中で、特に筋肉づくりに効果が高いという特徴があり、主にWPC製法とWPI製法に分けられます。
WPC製法はたんぱく質を抽出する際の、ろ過の精度が低い製法で、たんぱく質以外の糖質やビタミン、カルシウムなども含まれているのが特徴です。
WPI製法は乳糖がほとんど取り除かれているので、乳糖不耐症の症状が出にくい製法です。牛乳を飲んでお腹が痛くなったり緩くなる方は、WPI製法のプロテインを選ぶことをおすすめします。
また、ろ過が細かいため、たんぱく質以外の栄養素も極力排除されます。純粋にたんぱく質だけを摂りたい!というストイックな方向けのプロテイン製法です。
ソイプロテイン
“ソイ”とは大豆のことで、ソイプロテインは大豆から作られたプロテインのことを指します。
ソイプロテインはほかのプロテインに比べ、体内に吸収されるまでに時間がかかる(約7~8時間)という特徴があります。
仕事中や授業中、就寝中など、食事ができないタイミングでは、たんぱく質が枯渇しがち。ソイプロテインを摂取しておけば、ゆっくりと吸収されるため体内のたんぱく質が枯渇しにくくなり筋肉の分解を防ぎます。
ソイプロテインは吸収に時間がかかるため腹持ちが良く、空腹感を感じにくくなるため、食事をプロテインに置き換えるダイエット法に適しています。
カゼイン プロテイン
たんぱく質は、体づくりのために欠かせない栄養素です。その中の一つ「カゼイン」は、牛乳に含まれる乳たんぱく質の一種で、乳たんぱく質の約80%がカゼインです。
カゼインには、グルタミン酸、ロイシン、バリンなどのアミノ酸が豊富に含まれており、摂取するとカルシウムやナトリウムの吸収を促進させる働きも持ちます。
カゼインプロテインは牛乳から作られている動物性たんぱく質のプロテインですが、特徴はどちらかというとソイプロテインに似ています。
よくある質問
次に、プロテインに関するよくある質問を紹介していきます。
MRPプロテインとは
MRPとはミール・リプレイスメント・プロテインの略です。
このプロテインは、単純にたんぱく質だけを摂取するというのではなく、たんぱく質、脂質、炭水化物を配合し、食事の代わりとしてバランスよく栄養素が配合されているプロテインです。
たんぱく質も、ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテインすべてを混ぜているものも多く、そのほかにも、ビタミンやミネラルなどを配合している商品もあります。
バランスの良い食事を心がけたいけれど、忙しくて時間がない…という方は、MRPがおすすめです。
プロテインに含まれる「EAA」・「BCAA」とは
プロテインのパッケージに、「EAA〇g」「BCAA〇g」と表記されている商品があります。
EAAやBCAAとは、何なのでしょうか。
EAAやBCAAは、体内で生成することができず食事などから摂取する必要がある「必須アミノ酸」9種類がまとまった栄養素です。
EAAは必須アミノ酸9種類すべてを指し、BCAAは9種類のうちロイシン・イソロイシン・バリンという3つの栄養素のことを指します。
EAAやBCAAは、どちらも筋肉づくりに効果が高いサプリメントとして、単独でも販売されています。
とはいえ、アミノ酸は、たんぱく質が分解されて細かくなったものです。なので、プロテインにはEAAやBCAAは必ず含まれています。
商品の中には、EAAやBCAAの含有量が多くなる製法で作られているものもありますので、筋肉づくりを目指す人は含有量をチェックしてみるのもよいでしょう。
WPCプロテイン とは
プロテインの中でも代表的な「ホエイプロテイン」には、製法によるさらに細かい分類があります。
最もオーソドックスなホエイプロテインは、WPC製法で作られています。
WPC製法は、ろ過の精度が低い製法で、たんぱく質だけでなく糖質やビタミンなども含まれるのが特徴です。
比較的低価格の商品が多く、プロテインを初めて使う人にとっておすすめです。
WPIプロテイン とは
WPI製法は、WPC製法よりも細かくろ過を行う製法です。
たんぱく質以外をろ過で極力除去しているため、たんぱく質含有量が多く、ほかの栄養素がほとんど含まれていないのが特徴です。
純粋にたんぱく質だけを摂りたい、脂質や糖質を極力摂りたくないという方におすすめのプロテインです。
CFMプロテインとは
CMF製法は、WPC製法とWPI製法の両方の特徴を合わせた製法です。
乳糖や脂質などの不要なものを極力排除しながら、筋肉づくりに必要なアミノ酸やビタミンを追加配合した高品質のプロテインです。その分、ほかの製法よりも価格が高めに設定されている場合が多いです。
高品質なプロテインを摂取したいという方におすすめです。
グラスフェッドプロテインとは
グラスフェッドプロテインは、牧草飼育で育った牛を使用したホエイプロテインのことを指します。
放牧により健康的に育てた牛の牛乳を原料に使うことで、品質の高いプロテインとなっています。
人工飼料やホルモン剤、抗生物質などを使用せず、無農薬かつ化学肥料不使用の牧草を食べて育った牛の牛乳なので、安全性も高く、健康意識の高い人におすすめのプロテインです。
プラントベースプロテインとは
プラントベースとは、Plant(植物)とBased(由来)を組み合わせて作られた言葉で、植物性の材料を使用した食品のことを指します。
そのためプラントベースプロテインは、大豆やえんどう豆、玄米などが原料となっています。
植物性プロテインは、動物性プロテインよりも筋肉づくりの効果が低いといわれることがありますが、たんぱく質に変わりはありません。プラントベースプロテインの場合、筋肉づくりの効果を高めるためにアミノ酸を追加配合している商品もあります。
完全栄養食とプロテインの違いは?
補助食品として人気が高まっているのが、「完全栄養食」。完全栄養食とプロテインの違いにはどのようなものがあるのでしょうか。
完全栄養食:通常の食事と同様、体に必要な様々な栄養素をバランスよく提供する食品や食事のことを指します。たんぱく質だけでなく、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、多くの栄養素が含まれています。
プロテイン:たんぱく質を追加で摂取するために使用されるサプリメントです。プロテインの目的は、たんぱく質を追加補給するものであり、他の栄養素に関しては、あくまでもたんぱく質の利用をスムーズに行うためや、筋肉を速やかに修復するために配合されています。
完全栄養食は、バランスの取れた多くの栄養素を摂取するためにあり、プロテインは、たんぱく質補給のために摂取するという違いがあります。どちらも健康維持に効果のある補助食品ですので、自分の目的のあったものを選ぶとよいでしょう。
プロテインの選び方
プロテインには効果的な摂取方法があります。ここではプロテインの飲み方について紹介します。
筋トレと合わせて飲む場合
筋トレと並行してプロテインを摂取し、筋肉を増やしたいという人には、
・ホエイプロテイン
・たんぱく質含有率(たんぱく質の比率)が高い商品
・筋肉の成長を促すBCAAやグルタミンなどのアミノ酸を追加配合している商品
などがおすすめです。
特に筋トレ直後に摂取するプロテインは、吸収の速いホエイプロテインが良いでしょう。筋トレ直後は、筋肉の合成を効率が高まるタイミングです。そのタイミングでたんぱく質を速やかに補給することで、筋肉の修復が効果的に行われます。
ダイエット目的で飲む場合
ダイエットを目的でプロテインを活用したい人は、
・カゼインプロテイン or ソイプロテイン
・たんぱく質含有率が高く脂肪や糖質がほとんど含まれていない商品
・+αとして脂肪の燃焼に効果が高いカルニチンやビタミンなどが配合されている商品
がおすすめです。
腹持ちの良いカゼインプロテインやソイプロテインは、ダイエットに役立ちます。なかでも、たんぱく質含有率が高く脂肪や糖質が低い商品を選びましょう。
プロテインの中には、ビタミンや鉄分を配合したり、ダイエットのサポートとなるカルニチン、美容のためのコラーゲンなど、様々な栄養素が追加配合されているものがあります。追加配合されている栄養素もチェックしてみるとよいでしょう。
プロテインを飲む際の注意
プロテインを摂取する際にも気を付けたいポイントがあります。ここではプロテインを飲む際の注意点を紹介します。
乳糖不耐症に注意
プロテインを飲むと、お腹の調子を崩してしまうという人がいます。これは“乳糖”という成分が原因です。
乳糖は、牛乳に含まれている成分です。牛乳を飲むと起こる腹痛や下痢などの症状は、乳糖をうまく消化できないことが原因です。そのような症状を乳糖不耐症といいます。
プロテインの中には乳糖が含まれているものもあるので、乳糖不耐症がある方は注意が必要です。
そんな方は、WPI製法のホエイプロテインがおすすめ。WPI製法であれば、乳糖も排除されています。また、牛乳を使用していないソイプロテインも、安心して飲むことができるでしょう。
体格や運動量に合った量を摂取する
プロテインは飲めば飲むほど筋肉がつく、というものではありません。
また、プロテインを摂取しすぎると、摂取エネルギーが増えてしまい、体脂肪の蓄積につながってしまいます。
先述の通り、たんぱく質は体格や日常の活動量によっても、摂取目安量が異なります。プロテインは、あくまでも食事では不足してしまう場合のたんぱく質補給として活用しましょう。
プロテイン選びのときはたんぱく質含有率をチェック
たんぱく質含有率とは、一回あたりの摂取量のなかで、どのくらいたんぱく質を摂取できるかということを表した数字です。例えば、たんぱく質含有率が80%の場合、100g摂取すると80gたんぱく質が摂取できるということです。同じ量を飲むのであれば、たんぱく質含有率が高いほうが多くのたんぱく質を摂取できる=効率が良いといえます。
プロテインのコスパを考える場合は、たんぱく質含有率をチェックしてみましょう。
おすすめのプロテイン
最後に、おすすめのプロテインを紹介していきます。
ALPRON WPC プロテイン
「ALPRON WPC プロテイン」は、WPC製法で作られているホエイプロテインです。
たんぱく質含有率は約80%、1回30gあたり24gのたんぱく質を摂取することができます。
プロテイン初心者におすすめの、オーソドックスなプロテインです。味も6種類あるので、自分好みの味を見つけられるはずです。
ALPRON WPI プロテイン
「ALPRON WPI プロテイン」は、WPI製法で作られているホエイプロテインです。
たんぱく質含有率は約90%、1回30gあたり27gのたんぱく質を摂取することができます。
たんぱく質含有率が高く、乳糖不耐症の方でも安心して飲むことができます。
より質の高いプロテインを選びたい方におすすめです。
ALPRON ソイプロテイン
「ALPRON ソイプロテイン」は、大豆で作られている植物性のプロテインです。
たんぱく質含有率は約83%、1回30gあたり25gのたんぱく質を摂取することができます。
食物繊維が豊富で腹持ちが良く、余計な摂取カロリーを増やすことを防いでくれます。
また、ソイプロテインは、女性にもおすすめできるプロテインです。
大豆に含まれているイソフラボンが女性ホルモンと同じような働きをしてくれるため、美容面や女性特有の体のトラブルの解消にもつながります。
ALPRON ウェイトダウン
「ALPRON ウェイトダウン」は、大豆で作られている植物性のプロテインです。
たんぱく質含有率は約42%、1回15gあたり6gのたんぱく質を摂取することができます。
ダイエット用として、脂肪燃焼に効果的なカルニチンや、栄養バランスを整えるためのビタミン・ミネラルなどが配合されています。
IZMO 完全栄養の素
「IZMO 完全栄養の素」は、WPC製法で作られているホエイプロテインを使用した完全栄養食です。
たんぱく質含有率は約54%、1回40gあたり21gのたんぱく質を摂取することができます。
名前の通り、プロテインではなく完全栄養食のサプリメントです。1日に必要なビタミン・ミネラルのほか、しっかりとたんぱく質も補給することができます。乳酸菌、コラーゲン、食物繊維なども入っているため、健康・美容面にも効果的です。
プロテインを積極的に体づくり・健康づくりに活かそう!
プロテインは体づくりのための最も基本的なサプリメントです。
3大栄養素のうち、たんぱく質は不足しがちな栄養素です。普段の食事では、摂取目安量に足りないときや、積極的に体づくりを進めたい方は、プロテインを最大限活用して、効率よく筋肉を増やしましょう!