監修者:日本プロテイン協会理事/プロテインマイスター 坂本雅俊
プロテインを始めとするスポーツニュートリション商品製造販売会社アルプロン代表取締役社長。2001年の創業以来、人々の健康と活力にあふれた毎日をサポート。2030年頃に起こるとされる世界的課題『タンパク質危機』に挑む。著作「“出世”したければ週2回筋トレすればいい」詳しいプロフィールはこちら⇒ https://alpron.co.jp/about/#message
ハードな練習やトレーニングに役立つサプリメントの一つに「BCAA」があります。
アスリートも活用しているBCAAは、サプリメントだけでなく飲料や栄養補助食品にも活用されていますが、どのような効果があるかご存じでしょうか。
今回は、BCAAの効果と活用法について、管理栄養士が監修・解説します。
BCAAとは?プロテインとの違い?
プロテイン、EAA、BCAAのどれも筋肉づくりに効果があるサプリメントですが、それぞれメリット・デメリットがあります。 それぞれに違いに関してはほか記事で紹介していますのでそちらを参考にしてください。
BCAAとは、3つのアミノ酸の集合体のことを指します。その前に、まずは体を構成するアミノ酸について確認してみましょう。
アミノ酸には、「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」があります。
「必須アミノ酸」とは、体内で生成できないため、食事などで摂取しなければいけないアミノ酸のことを指します。体を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうち9種類が必須アミノ酸です。
【必須アミノ酸】
・ロイシン
・イソロイシン
・バリン
・リジン
・メチオニン
・スレオニン(トレオニン)
・フェニルアラニン
・トリプトファン
・ヒスチジン
そのほかの11種類は、体内でも合成することができるアミノ酸で、「非必須アミノ酸」と呼ばれます。
【非必須アミノ酸】
・アルギニン
・グルタミン
・グルタミン酸
・アスパラギン
・アスパラギン酸
・グリシン
・アラニン
・セリン
・システイン
・チロシン
・プロリン
この20種類のアミノ酸のうち、必須アミノ酸である、「バリン・ロイシン・イソロイシン」の3つをまとめたものを、“分岐差アミノ酸(Branched Chain Amino Acids:頭文字をとってBCAA)”と呼んでいます。
バリン
バリンは筋肉を作る際に重要なアミノ酸です。体の成長を促したり、エネルギーとして使われるなどの働きを持ちます。
ロイシン
ロイシンはエネルギーとして使われるだけでなく、たんぱく質合成のスイッチであるmTOR経路を活性化させ、筋肉の合成・回復に効果が高いアミノ酸です。
イソロイシン
イソロイシンはエネルギー代謝のほか、肝臓の機能強化、集中力を高めるなどの働きを持ちます。
アミノ酸との違い
BCAAとアミノ酸は違うの?と思われる方もいるかもしれませんね。
BCAAもアミノ酸なので、大きな違いはありませんが、BCAAは特に筋肉づくりに効果の高いアミノ酸として活用されており、アスリートなど筋肉の維持・向上が必要な人たちに多く活用されています。
BCAAと効果
BCAAを摂取することでどのような効果を得ることが期待できるのでしょうか。ここではBCAAの摂取により期待できる効果について解説します。
筋肉の材料となる
BCAAがアスリートたちに活用される理由は、アミノ酸の中で特に筋肉づくりに効果が高いと言われているからです。BCAAは筋肉に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めており、筋肉の主成分となると考えられています。
また、多くのアミノ酸が肝臓で代謝され、髪や皮膚、爪など様々な組織で使われたり、生命維持をするための働きに使われるなど様々な用途に分配される一方、BCAAは筋肉のために使われる割合が高いため、筋肉づくりに効果を発揮します。
筋肉の分解を防ぐ
摂取したBCAAは、すぐにエネルギーとして使われ、筋肉の分解を防ぐことが期待されています。
体を動かすにはエネルギーが必要。体を動かすエネルギーの源は、筋肉にある糖質(グリコーゲン)や脂肪です。
トレーニングなどのハードな運動ではエネルギーが不足すると、脂肪や筋肉が分解されてエネルギーとして使われますが、この時、先に分解されてしまうのが筋肉。体脂肪は分解されてエネルギーとして使えるようになるまでに時間がかかるからです。
筋肉の分解を防ぐためには素早いエネルギー補給が必要。エネルギー補給には素早く吸収され、すぐにエネルギーになるBCAAが効果的なのです。
筋肉疲労の軽減
BCAAは、筋肉の疲労感を軽減させる働きもあります。これはBCAAが筋損傷を軽減させる効果があることによるものだと考えられています。
BCAAサプリメントをトレーニング前に摂取することで筋肉へのダメージを減少させたり、運動後に起こる筋肉痛の発生を抑えるという研究結果があります。
また、BCAAは筋肉の合成を促す効果があるため、ケガをした時にも効果を発揮します。
肉離れなどの筋肉のケガの時に摂取することで、ケガが早く治るという報告もあります。
持久力向上
BCAAを摂取することで、持久力の向上も期待できます。これは、BCAAが運動中のエネルギー源として効率的に使われるためで、持久的運動中のパフォーマンスを向上させたり、良いパフォーマンスを発揮できる時間を増やすことができます。
疲労回復
BCAAは筋肉の修復など体の疲労回復だけでなく、脳の疲労回復も促すことができます。
脳の疲労のことを中枢性疲労といいますが、中枢性疲労は仕事や運動などによりストレスや緊張状態に陥ることで血中のBCAA濃度が低下し起こります。
血中のBCAA濃度を高めることは、疲労感を回復するとともに集中力を維持することにも役立ちます。
体脂肪の減少
BCAAには、脂肪を燃焼させる働きを持つ成長ホルモンや、インスリンなどの分泌を促す効果があります。成長ホルモンやインスリンの分泌を促すことで、体脂肪の減少にも効果を期待できるかもしれません。
研究でもBCAAを摂取することで、体脂肪を減らす効果があることが指摘されています。
筋肉の分解を防ぎ筋肉量を維持したまま体脂肪を減らすことができるBCAAは、減量中やダイエット中にも効果的な栄養素です。
免疫力アップ、肝機能の向上
BCAA自体には肝機能自体を向上させるという効果について情報を見つけることができませんでした。
ただ、肝臓はたんぱく質で修復されますし、肝臓の疾患がある方にとってBCAAは筋肉量を維持するなど、肝機能の低下した方の栄養摂取には効果があるようです。
安眠効果
BCAAには安眠効果があるといえるだけの情報を見つけることができませんでした。
しかし、ほかの安眠効果を得らえるグリシンやトリプトファンなどと一緒に取ることで、それらのアミノ酸の効果をより多く引き出し、安眠効果を高めます。
BCAAを含む食品
BCAAは必須アミノ酸のため、食品から摂取する必要があります。食品からBCAAを摂取したい場合、たんぱく質が多く含まれている食品を選びましょう。
【BCAAを多く含む食品】
・マグロ(赤身)
・カツオ
・鮭
・鶏むね肉
・鶏もも肉
・牛肉
・卵
・牛乳
・チーズ
特に、ダイエット中など、食事量が少なくなったり食事制限によって栄養バランスが崩れやすい場合は、意識してこれらの食品を摂取するとよいでしょう。
BCAAを摂取する方法・摂取量
BCAAを摂取するうえで、おすすめの方法を紹介します
BCAAを摂取するポイント
血中のBCAA濃度を保つためには、2,000㎎以上摂取することが推奨されます。1,000mg以下では約1時間で血中のBCAA濃度が摂取前と同じくらいに低くなってしまうことがわかっています。
研究では体重1kgあたり0.1gの摂取量が効果的であるという結果が出ています。仮に体重が60kgの人の場合は6gということです。
効果的にBCAAを摂取し、血中のBCAA濃度を高めるためには、普段の食事にプラスしてサプリメントを活用するのがおすすめです。
BCAAは、水で飲むことをおすすめします。BCAAのサプリメントにはフレーバーがついているものが多く、水でも美味しく飲むことができます。
スポーツドリンクや果汁100%ジュースを用いて飲むこともよいでしょう。
ただし、それらの飲料は少なからずカロリーが含まれているので、体脂肪の減少を目的にしたストイックな食事管理をしている方は気をつけましょう。
BCAAのおすすめのタイプ
BCAAのサプリメントには、パウダーやカプセル、タブレットなど様々な商品があり、それぞれの商品には特徴があります。
個人的にはパウダータイプがおすすめ。値段も安く、内容量が多いからです。
カプセルタイプやタブレットタイプは、そのまま飲めるので持ち運びが楽だったり、粉末を溶かす必要がないので簡単に摂取できるという点がメリットです。
BCAAは溶けにくい?
BCAA(分岐鎖アミノ酸)は水に溶けにくいという特性があります。これは、BCAAの分子構造が水と相互作用しにくいためです。特に、冷たい水に溶かす場合、さらに溶けにくくなることがあります。より良く溶かすためには、温かい水を使用するか、しっかりと振って混ぜる必要があることが多いです。また、市場にはより溶けやすいBCAA製品もありますので、製品選びに注意すると良いでしょう。
効果的なBCAAの摂取
BCAAは運動やトレーニングとのセットで最も効果を発揮します。効果的なタイミングを逃さないようにしましょう。
運動30分前のBCAA摂取がベスト
BCAAの効果を得るためには、運動30分前にBCAAを摂取することがベストです。
吸収の早いBCAAは、数分で体内への吸収が始まり、30分後までに血中濃度が最大になることが分かっています。
BCAAがエネルギーとして使われ、筋肉の分解を防ぐ効果を得るためには、運動前からしっかりエネルギーを補給しておく必要があります。
出典:日本臨床栄養学会雑誌 p1,27,2005
また、運動をすることによって起こる血中BCAA濃度の低下やエネルギー不足を補うためにも、運動中の水分補給同様、こまめにBCAAを摂取するとよいでしょう。
吸収スピードが違うBCAAとプロテインとの併用
運動前・運動中にBCAAを摂取しなかった場合においても、運動直後に栄養を速やかに摂取することで、筋肉づくりを高めることができます。
例えば、運動直後にBCAAを摂った後に、食事やプロテインで十分なたんぱく質量を補給することで効率よく筋肉が合成されるとも言われています。
吸収スピードの早いBCAAと、たんぱく質含有量の多いプロテインを組み合わせて使い、効率よく筋肉を成長させましょう。
BCAAの過剰な摂取は大丈夫なのか?
BCAAは薬ではなく栄養素なので、摂取による副作用は全く心配ありません。
また、プロテインの場合、肝臓で分解が必要なため、過剰摂取することによる内臓疲労の懸念がありますが、BCAAはすでに分解されている状態のため、内臓にかかる負担は少ないといえます。
とはいえ、やはり何事もバランスが大事。食事にプラスして摂取することで、カロリー過多になることもありますし、BCAAをただ摂取しているだけでは、BCAAの効果を実感できないこともあります。他の栄養とのバランスや、運動との併用によって効果は現れてくるのです。
普段から栄養バランスを整えたり、運動を取り入れたうえでBCAAを活用するということを忘れずに頭に入れておきましょう。
BCAAを飲んでトレーニング効果を高めよう
トレーニング効果を高めるサプリの中で、BCAAは人気の高い商品です。
BCAAはプロテインが苦手な方でも、手軽に摂取でき効果を感じることができます。
ただ、BCAAの効果を実感したいのであれば、運動が欠かせません。運動をしなければ、BCAAの優れた効果も最大限に発揮することはできません。
普段の運動中やトレーニング中に摂取する飲料に混ぜるだけで摂取できるので、ぜひ積極的に活用してみてください。
EAAとの違い
おすすめのBCAA
最後におすすめのBCAAサプリメントを紹介します。
ALPRON BCAAは、バリン・ロイシン・イソロイシンの黄金比率1:2:1で構成されているBCAAサプリメントです。パウダータイプですが、水に溶かさず、そのままでも飲むことができるので摂取が簡単です。
この商品の特徴の一つが、グルタミンが配合されている点です。グルタミンとは、非必須アミノ酸の一つで、筋肉の遊離アミノ酸の60%を占めている、体に最も多く含まれている大切なアミノ酸です。
グルタミンには、筋肉分解抑制効果のほか、免疫力向上、消化器官のサポートなど様々な働きがあります。
ストレスや疲労などによって、グルタミンは大量に消費され不足してしまいます。グルタミンが不足すると免疫力が低下し、体調を崩す原因にもなります。
体脂肪率が低いアスリートは風邪をひきやすいので、BCAA+グルタミンが配合されているこのサプリメントは、常に良いコンディションを維持し、日頃のトレーニングや練習に耐えられる体を作るためにも大きなサポートとなります。
味は、パイナップル味とエナジードリンク味がありますが、特にエナジードリンク味が人気です。